音楽療法のイベントとして、いろんなジャンルのミュージシャンに来てもらい、長年演奏会を定期的に行い、施設の利用者に音楽を届けてきた。
きっかけは20年も前になる。
体調が安定せず、仕事を休みがちな利用者、または仕事に来ても、悩みを抱え集中できない利用者には、面談という形で、じっくりと向き合い、話しを聞き、その都度アドバイスをするという時間を毎日のように取っていた。
話しを聞くだけで安心してくれる人もいれば、逆にうまくいかず、元気になってもらえない人もいる。元気を与えられなかった人には、翌日も根気よく話しを聞いたり。
ある日、ずっと元気がなく落ちていた利用者が、とても爽やかな顔をして出勤してきた。
どうしたの?何かいいことでもあったの?…と聞くと、「昨日、大好きなアーティストが新しいCDを発売した!それを聞いたらとても元気になった!」と言う。
へ~。。どんな音楽??
と聞くと、すごく嬉しそうな顔をし、音楽プレイヤーを取り出し、自分に聴かせてくれた。
「3曲目の○○、6曲目の○○という曲がすごくいいんだよっ!」と言う。
あれだけ何日間も話しを聞き、全く元気にならなかった人が、音楽という1曲。たかだか数分の楽曲でここまで元気になるとは。。。
自分ら職員の腕が悪いと言えばそれまでだが、とにかく、あれほど元気がなかった人に、こんなに元気や希望を、たった数分の1曲で与えられる音楽はすごいと思った。
これはもしや?と思い、同じように難しい問題を抱えた利用者の何人かを引き連れて、あるコンサートを観に行った。
演奏中、感動して泣いてる人もいれば、笑って大きな拍手と声援を送る人もいれば。。。
確信した。
音楽はすごい!!
それから音楽療法を取り入れてる大学の講師から学習会を開いてもらい、音楽の素晴しさを改めて教わった。
…で、20年前から、施設の定期的な行事として、都内のライブハウスを借りて、利用者向けの音楽会を開催している。
始めた当初は、ギターの弾き語りアーティスト、ロックやポップスのバンドマン。時にはクラシック奏者にも来てもらい。
最近はアイドルと言われる女の子たちの演奏会がやたら多くなった。
このアイドルがまたすごい。あの小柄な体で、精一杯唄を歌いながら躍り、満面の笑顔で利用者を包み込む。
とても自分ら職員には出来ることではない。
まさに人に夢を与えるプロフェッショナルである。
このアーティストさん達のお陰で、利用者はいつも元気をもらい、そして夢や希望も与えてもらえている。自分ら職員も同様、大きな力をもらっている。
本当に感謝である。
改めて…。
音楽はすごい!!
文章・T