うちの企業は、公共事業の請け負いが多く、契約書のやり取りがこの時期は半端ない。
契約金額によって、契約書に貼る印紙の金額も変わるのだが…。
数年前、妹家族が子どもの春休み期間を使って、ディズニーランドに遊びに田舎から出てきた。
ホテル代を節約したいとのことで、自分の家に泊めてほしいとなった。
妹の子どもは女の子。とても可愛くていい子なのだが、自分のことを「デブじぃ」と呼ぶ。
デブじぃて…。外出先で、大きな声で「デブじぃ~!こっちだよっ!」と呼ばれると、周りの人たちが失笑する。
こ、このクソガキ~…。
妹も全く注意せずに、むしろ喜んでる。。
この日、印紙を貼った契約書(6万円の印紙を貼った)を、鞄に入れ帰宅した。翌日、朝一で役所にこの契約書を渡す為だった。
妹家族はディズニーランドからすでに帰宅していて、家でくつろいでいた。
「おかえり~!デブじぃ~!」
「お、おう。。ただいま~。てか、ディズニーランドで遊んで来たのに、なんでまだそんなに元気なんっ…?」
帰宅し、すぐにお風呂に入っていた。
すると、妹の叱り声が聞こえた。
「何してんの!こらっ!」
ん?どーしたんだろ?妹が子どもをこんなにきつく叱ってるのを見たことがなかった。
続けて、子どもの泣き声が聞こえてきた。
「うわ~~んっ!」
あれ!?
この子が泣いてるのも見たことがない。
「どしたんっ!?」
すぐにお風呂を出た。
行ってみると、自分が持ち帰った契約書に、子どもが落書きをしてる。
「ぎゃっ!!てか、何してんべやっ!!」
「ごめんなさい、兄ちゃん。娘が…。」
6万円の印紙を貼った契約書に落書きされた!てか、クレヨンしんちゃんうまいなぁ~。って感心してる場合じゃない!
「ほらっ!お兄さんに謝りなさい!!」
「デブ~、デブ~、ごめんなさい~。ええ~ん。。。」
てか、デブじぃではなく、もはや単なるデブになっちゃった。。。
「う、うん…。だ、大丈夫だからもう泣くな。」
翌日、予定は変わり、契約書の再発行をお願いする謝罪の連絡と、銀行に6万円をおろしに行ったりとドタバタだった。
…この子もこの4月から中学生だ。おめでとう!
文章・T