上京して最初に住んだのが板橋区。駅でいうと都営三田線の板橋本町駅です。
当時住んでいたアパートの家賃は3万円で、赤羽に住む叔母が選んでくれたアパートでした。
自分はあまり育ちがよくなかったので、東京で一人暮らしの条件として、赤羽の叔母の家の近くであることと、叔母が選んだ所に住むというのが父親との約束でした。
叔母の監視下にて生活をする。。。
一体どんなアパートなのか??それに周りの環境など全く知らずに上京しました。
上京初日。叔母の付き添いのもと板橋本町に。。
環七と17号が交差するところに駅があり、田舎と違う車の多さと騒音、それと空気の悪さに驚きました。
アパートは駅から徒歩5分くらいのところにありまして。。
「だいわまち…??」
「やまとちょう!!(大和町)」
アパートの前は大きな幼稚園。園児たちの遊ぶ声が聞こえました。
「毎日、元気な明るい声が聞こえていいなぁ。」
大家さんを紹介され挨拶。
その後、早速部屋へ。
6畳ひと間、トイレとシャワー室。
「ここから東京生活のスタートかぁ。。」
叔母は、「いい部屋だろ~?」と。
繁華街があるような地域だと、自分が悪さをするのではないかということで、この場所を選んだのだと言う。。。
「うん。どうもありがとう。」
部屋の窓を開けると、アパートの前の明るい幼稚園とは打って変わり、一面大きな墓場でした。
「うわっ、叔母ちゃん!お墓じゃん!」
「あんたは素行が悪くて何するかわからないから、毎日いろんな方に見守ってもらいなさい。」と言う。。。
「何が見守られろじゃっ!怖くて仕方ねーはっ!」
「大丈夫よ、慣れるから」と。。。
…いやいや、マジ怖いし。
一人暮らし初日。
案の定、夜は怖くて窓を開けたくないから換気すらできない。
一人だとたまらなく怖いので、同じく上京してきた友人数人に声をかけても、気味が悪いから行きたくないと遊びに来てくれません。。。
ったく、あのくそババァ!なんちゅーデビューをさせんのじゃっ!
ところがそんな環境でも、来てくれる友人がたった一人居まして。
こいつだけが俺の光や…。
ある日、この友人と部屋でお酒を飲みながら談笑していました。
もう寝ようかとなり、布団を敷き。
友人が寝る前に一服とタバコを吸い始めました。
すると、そのタバコから落ちた火柱が布団に落ちてしまいまして。
「あっ。やべっ!」
パンパンと布団を叩いたら、それがまた火柱を左右に飛ばし引火。布団がたちまち燃え始めてしまいました。
「ぎゃっ!何してんべやっ!!」
「ひ~っ!水っ!鍋か何かに水いれて早く持ってきて!!」
本当にあっという間に大きな火に。
掛け布団から敷き布団にまで引火。
鍋の水をかけても全く意味がありません。
自分はとっさな判断で窓を開け、燃え上がる布団を外に(墓場の方に)放り投げました。
これが夜中の1時くらいでした。
外で、ものすごい勢いで燃える布団。。
部屋は火事にならずおさまりましたが、外の布団が燃えていて、風で周りの建物に引火したらマズイ。
早く消防車を呼ばなきゃ!!
互いに焦ってテンパってるし、今まで消防車など呼んだことなどありません。
「おいっ!消防車って何番にかけるんだっけ!?」
「1、、117っ!!」
…ピッピッ…只今より午前…。
「アホ!これ時報だよ!」
「えっ!?何番だっけ!?」
「忘れた!とりあえず110番しろ!」
「110番って警察だよっ!」
「いーからしろっ!ボケ~っ!」…完全にテンパっていました。。
で、結局、警察から消防車を要請してもらい、わずか15分後くらいにパトカーが。それからすぐに3~4台の消防車がサイレンを鳴らして到着。
近所は騒然となりました。
警察が着いた時にすでに布団は鎮火していました。
警察、消防、大家さんに事情を説明。
こんこんと注意を受けました。。
そりゃもう、こんこんと。。
翌日、大家から連絡がいった叔母がアパートに来ました。
「上京してきて、すぐにこれかっ!!それにお墓に物を放って!!この罰当たりがっ!!」
「いやいや、友だちが…」
「友だちのせいにするなっ!!」
結局、このアパートはすぐに退去となり、叔母の家にしばらく下宿することになりました。。
今の時代、喫煙者は少なくなりましたが、タバコを吸う方はくれぐれも気をつけてください。
布団はヤバイ。本当にヤバイ。1分もかからず、数秒の早さで火が燃え広がる。
あ~あれからもう30年か~。。
文章・T