僕の育った群馬県はとにかく風が強い!
冬に赤城山から吹き下ろして来る北西風、その風の強さと来たらもう…
こちら東京でいう大きめの台風が日常的に吹いてるようなもんなのです。
それは「上州のからっ風」という言葉で表されています。
僕の通っていた高校は自宅から10キロ程離れた高崎市にあり、自転車で4~50分掛かけて通学していました。
風の強い日は本当に大変で、
向かい風に当たった時などは自転車のペダルに全体重を乗せて"ぐんっ"と一漕ぎする。
するとその車輪の回った一回転分だけ前に進む。
今度は反対側のペダルに全体重をかけてもう一漕ぎするとまた一回転分だけ前に進むという…
つまり惰性で"シャーッ"と進むあれが全く無いのです。
自転車で歩いて学校に向かっているようなもんなのです。
逆に追い風に背中を押され、向こう方面からやって来る学生達はペダルから両足を上げて"シャーッ!"と、風力のみで進んで来ます。
ペダルを漕ぐ事はなく、勢いを止める為だけの「ブレーキのみ」使うのです。
この風向きによって分かれる天国と地獄!
向こうから来る連中は薄ら笑いを浮かべてます。
「プッ…向かい風に向かって来る人達のあの必死な赤ら顔よ(笑)」
更にこちらは顔を上げようものなら天然のオールバックに仕上がるのです。
僕自身、風が強い日にそういった理由で学校を休んだ日が数回ありました。
…だって自分の作ったヘアセットはそうじゃなかったのに、オールバックになっちゃうんだもの。。
そして思い出すのが高校の体育祭の時。
広いグラウンドを一周する形で各学年のクラスが配置されるのですが、強風の日は強く砂煙が舞い上がり、反対側の生徒達は砂塵の向こうに遠く霞んで見えます。
そんな中で応援の大太鼓だけが"ドーン"、"ドーン"と響いてくるのです。
「俺たちは一体何と戦っているんだ…」
そう、もはやそれは戦国の戦(いくさ)!
誰も吹いていない筈のホラ貝の音まで心に聴こえてきます…。
教室に戻ると髪は完ッ全に右に吹かれた形で固まり、それはちびまる子ちゃんの「花輪くん」のようになっているのです。
…花輪教室…
そこは坊主の学生以外、全員が花輪くんになっている教室なのです。
向こう正面に位置したクラスの生徒達は風向きが逆になるので、左に向かって髪型が固まる「逆花輪くん」となって帰るのです。
もうそこは『花輪学校』なのです。
こんな感じで群馬に吹くからっ風は、今日も学生たちを「オールバック」と「花輪くん」に仕立て上げているのです。
KS