先日の昼どき
うちの作業所には既に数人の利用者さんが居て私KSはパソコンに向かっていました。
他の利用者さんもぼちぼちと集まり、お弁当を食べる人なども居る時間帯です。
また一人、当たり前のように部屋の真ん中辺りまで入ってきた男性は
「こんにちは…」
と、低めのトーンで挨拶をしながら奥の席へと向かいます。
「どの利用者さんかな?」と思って顔を見ると…
その男性は少し大柄の体つきで野球帽を被り、バサバサの髪が顎の辺りまで伸び顔を覆っている。
私の位置から見える横顔はその髪に隠れていて全く見えない。
「?…誰、この人」
それは知らない男性だった。
そのまま部屋の奥側へ進む男性。
(あぁ。知らない人が入ってきてしまったな…
さて。不審者となるのか…
何かの間違えで来た人なのか…
さっき挨拶した様子からは急に暴れるような事はなさそうだ)
(私の知らない関係者かもしれないが…
奥にいるTMさん❨女性職員❩から挨拶のない事からも、やはり誰も知らない人だな。
まずは優しく問い掛けながら外に連れ出さないとですな…)
…という思いと同時に別の脳はこの人が暴れた場合の想定も同時進行中。
(この体躯の持ち主が右に左に腕を振って暴れたら…ここでは広さ的に間合いを使っての素早い動きは出来ない。
穏やかに話しかけながら、いつでも手首を取れるようにしないといけない。
利用者さん達の手前、「怖い」と感じる場面展開には持って行きたくない)
ここは私が多少の武道を嗜(たしな)んでいる為、相手の攻撃力をいなす動作を想定して行きます。
ここまでの描写は文にするとこうして長いですが実際は1~2秒でのこと。
こちらは相手の行動を確認しながら柔らかく動き出そうと準備をする、、
男は机の向こうで立ち止まり悠々と荷物を降ろしながら正面を向こうとしている、、
瞬間こちらは「この部屋に落ち着こうとしているな」と認識する、、
そのタイミングで奥からTMさんが
「あら、いいですね〜」
みたいな事を言いながら出て来る、、
そう
何が「いいのか」は解らないが、
とにかく相手を刺激せず、
褒めるように、
笑顔を作りながらこちらの部屋へ入って来る、、
優しい声掛けの反応は一緒だが、初対面の不審者に対して咄嗟にここまで笑って対応するのは凄いと感じた、、
ここまででもプラス10秒くらいの間の事。
男と私は正対したがやはり髪が邪魔で顔が見えない、、
いよいよお話をしなければならない、、
「あぁ。え〜と?…」
…と口を開きかけた私に対し、男はそのままお辞儀をする様な、頭を下ろすような動作をし始めた。
…と、
なんとそのまま"ストン"と男の頭部が机の上に落ちた!
身体は直立したままなのに、
頭だけが目の前の机の上に落ちたのだ!
(頭部がもげた!、
これは怪奇現象だったのか、、?
そっち系のやつか、、!?
となれば何かお経の様な事を唱えたいがよく解らない!)
何なのだコレは…、、
…と、ほぼ同時に利用者さんやTMさんはなんと一斉に笑い始めてしまった!、
悪夢…
全員が不思議な力でやられたのだ、、
私だけがこの悪夢と対峙するのだ!
と、次の瞬間、
落ちた筈の顔の位置にはすり替わったように見慣れた利用者さんの顔が生まれていた!
そして皆が口を開く、
「ちょっ、〇〇さーん!これどーしたのー?(笑)」
「わははっパーティーグッズ。ドン・キホーテで買いました〜(笑)」
「あはっ、どーなってんの〜?そのカツラw、ちょっと貸して〜(笑)」
、、 、
かつら…
…ヅラ!?
ヅ…、、、、
ヅラかーーーーーーーーーーーーーーぁぁい!
、、、、
ヅラッ…
ヅラなんかーーーーーーーーーーーぁぁぁい!!
「これか〜前に言ってたやつw、え、これ何系のカツラなのこれ?w」
「アキバ系ってやつですよw、あTMさん!僕だってことすぐ気付きました?(笑)」
「へへ〜w、私は前回『今度してくるかも』って聞いてたからすぐに解ったよ?(笑)」
………へー…………………
知っちょったんか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃい!!
賑わう室内。
いや…あの、…俺、格闘の段階まで想像して…
「わはは、ぁこれ次のレクリエーションの時にまた被ってもいいですかね〜?(笑)」
…… …
さっき私が倒そうとしていた男はいつもの利用者さんとなり笑っている…。
さて…
コーヒーでも飲むか。
まめの樹は今日も平和である。
KS
最後までご覧いただき有難うございます。
「また見にくるよ ♪」
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